天使がくれたもの(全編公開にします)

『…で?』


その夜の、受話器越しに聞く美衣子の声。


「で、って言われても……」

『雪奈が話したからカグにバレた。……それで?』


厳しい口調で丁寧に言い直され、舞はさらに落ち込んだ。


「それで、って……」


返す言葉に困って黙り込む。

すると、美衣子は深々とため息をついた。


『……舞。その快って子にいい顔、カグにもいい顔。そんなことしてたら痛い目見るで? 一体、あんたはどうしたいん? カグのことを忘れられへんのならその快って子と連絡とるのはやめといたほうがいい。その快って子をカグと重ねずに見て、それで好きになれるんなら、カグに知られたって別にいいやんか』


呆れた口ぶりの彼女。

快からキスされたことを話せる空気じゃない。

舞は美衣子にその話を言い出せなかった。


「……うん。確かに……そうやよな」


間をおいてから、そう返事をする。



美衣子の言葉は正しい。

確かにその通りだと思う。

でも、舞はうまく自分を動かせれない。


カグと重ねてるだけなんかもしれへん。

でも、快から離れづらい。