天使がくれたもの(全編公開にします)

コップいっぱいのコーラを舞の前に置き、明るく笑いかける彼。


「なんで避けてるん?」


流されないように、舞は問い詰めた。

カグは舞の視線に困り果てた様子でうつむき、頭をポリポリとかいた。


「…おまえ、男の家に泊まって…彼氏怒るやろ」


ため息まじりに舞の顔をちらっと見る。


「…別れた。別れたよ、あの後」


昼間は大勢の仲間が集まり狭く感じるリビングも、今は広々とした静かな空間。

その広さは気まずい態度でふるまう彼からすると、たまらなく息苦しいものだった。


「…あのな」


舞はツバを飲み、彼の顔を熱く見つめた。

…あの夏の駐車場で、止まってしまった2人の時間を取り戻すかのように。