天使がくれたもの(全編公開にします)

「待っとく? 明日、休みやろ?」


美衣子は彼女の前にしゃがみ込み、明るく声をかけた。


「…え?」


突然の提案に舞はポカンと口を開いた。


「そうしいや。夜中には帰ってくるし」

「あたしも一緒に泊まるからさ」


2人の説得に戸惑いつつも、舞は言われるまま泊まることにした。




午前1時を知らせる時計。


「寝てくれてええで?…妊婦さんなんやし」


目をこする美衣子に、舞は声をかけた。

テルオは明朝から仕事があるため、早くに寝ている。


「ううん、昼間寝てるから大丈夫。…1人でおったら、また泣き虫が泣き出すからなぁ」


美衣子がからかうように笑いかけてくる。

…彼女は心配してくれている。

…1人にしないように。


「…ありがと」


彼女の優しさに触れ、舞の瞳に涙が浮かび上がる。


「ほら出た! ほんま泣き虫やなぁ」


美衣子はケラケラと笑いながら、ティッシュペーパーを1枚撮り、舞の顔に当てた。

笑い合う2人。

美衣子がいなきゃ、こうして待つことさえできなかったはず。

舞はそっと、隣に座る彼女に感謝した。