天使がくれたもの(全編公開にします)

「…えっ」


彼は我に返ったように起き上がった。


「ひ…久しぶり」


舞はぎこちない笑顔で声をかける。


「…おはよう」


舞の言葉を耳にし、ポカンと開いた口を閉じる。

やっと目が覚めたのか、カグは目をそむけ…照れたように口を開いた。


「寝込み襲う気?」


ポリポリと頭をかく彼の言葉に、舞は赤面した。


「ちっ…違うわっ!」


そんなやりとりを、周囲はほほ笑ましく見守る。


「はいっ」


2人にジュースを手渡す美衣子。


「あ、ありがと」


自然に接することができ、舞は安心し緊張がほぐれた。


「あ、7時過ぎてるやん!」


突然、カグは我に返ったように立ち上がった。


「え? どこ行くん?」


せっかく会えたのに…。

舞はさびしそうな表情で彼を呼び止めた。

一瞬…戸惑うように振り返り、彼女の顔を見つめる彼。

だが、何も答えず…彼は部屋を出て行ってしまった。