天使がくれたもの(全編公開にします)

ふと…目に入る、うつぶせになった彼の寝顔。

舞は、彼と初めて出会った日のことを思い出した。

…髪の毛を踏んでしまい、怒鳴り散らす彼。…あれが初対面。

舞はめくれ上がった布団をそっとかけ直した。

すると、閉じたまぶたに力を入れて、もがくように拳でこすりだした。

中腰のまま、体が凍り付く舞。


「起きたやん。おい、起きろって!」


追い打ちをかけるように、彼を起こそうとする拓馬の声。


「…ん」


電気の光がまぶしいのか、眉間にしわを寄せ目を開く彼。

…やばい。

舞は体が固まって動かない。

彼はぼんやりと映る彼女の姿に驚き、一気に目を開いた。