天使がくれたもの(全編公開にします)

「…カグは?…知ってるん?」


さっきまでの明るい空気は一気に消え去り、2人は涼しげな風に吹かれながらうなずいた。


「…何度も電話かけようとしたんやけどなぁ」


舞は、ため息まじりに両手をつき…顔を上げた。

心の中を映し出すように、ハッキリしない空。

星どころか…月さえも見当たらない。


「…本人に聞いたわけじゃないから…ハッキリ言い切ることはできんけどな。たぶん…舞のこと好きやで」


…小さな声でささやく美衣子のセリフに、舞はカグに告白された日を思い出した。


「…舞の話が出たら…黙りだすし、なんか意識してるっぽい」


美衣子の言葉で、少しだが期待がふくらんでいく。


「それに、白浜から帰ってきて…会いにいったんやろ?…テルオにそれ聞いてな“カグも好きなんちゃん?”って思った」


頭の中で、回想される映像。

突然、彼は会いに来た。

“ただいま”と笑いかける彼の笑顔…駐車場での告白の言葉。