…美衣子とは、もう一言も言葉を交わしていない。

窓ぎわで1人、何も食べずに…形態を眺めていた彼女。


「…てかさぁ、あの子…ほんま見ててウザいって」


職権売り場の列に並んでいると、恵子が毎日切り出す話題を…今日も口にする。


「調子に乗んなって感じっ」


彼女に合わせるように、隣で智美がうなずく。


「舞も離れて正解! あの子と一緒におったら、あんたまで嫌いになるとこやった!」


そう言って、2人は舞に笑いかけた。

2人が話題にしている人物は…美衣子。

彼女は今、クラスの大半から…嫌われている。

…理由はわからない。

舞は、2人に合わせ…ぎこちないほほ笑みを返す。

…彼女に八つ当たりをして、離れてしまった舞。

美衣子は…何も悪くない。

いや、それどころかひどい態度を示す自分に対して…彼女は必死に追いかけてくれていた。