「…で? あんたはどうしたいん?」


純子は、冷静に問いかけた。


「…わからん」


一気に何もかもが動きだし、舞は混乱していた。


「…あのな、あんたの気持ちはわかるけどな。…はっきりしてあげな、勇心も……岸和田の彼も…あんた以上につらくなるんやで? 気持ちは出てるんじゃないん? …落ち着き」


彼女の冷静な判断が、舞の心を整理していく。



――次の日の夕方。

電車の中で、舞は昨夜純子が言った言葉を思い返していた。

…自分以上に、つらくさせてしまう。

舞はヒザの上の鞄に、頭を乗せた。


「…こんなはずじゃなかったのに」


がら空きの車内で1人、舞は頭を抱えた。

…本当言うと、答えはもう出ている。

でも、ほかの男と付き合った女を…アイツはもう一度想ってくれるのか?

それに、そのことを…どうやって彼に切り出せばいいのか。