「なぁ!? 白浜に行ったっきり連絡ないような奴やんか!! 帰ってきて、都合よく会いに来た男やろ!? そんな奴やん!!」


彼の両手に、怖いぐらいの力が入る。


「…痛いからっ!!」


落ち着かすように、舞は大きな声をはりあげた。

彼女の言葉にムキになる勇心は、怖がる顔に自分の顔を近づけた。


「…っ、嫌やし! そんなん!!」


舞は、彼を拒み顔をそらした。

…すると、彼の手から力が抜けていく。


「なんでなん。…俺のほうが、ホンマに好きやのに。…なんで、そいつと出会ったんなよ。…なんで、やり直されへんなよ」


うつむいたまま…今にも泣きそうな声が舞の耳にこびりつく。