「・・・それにしても、かっこいいなぁ!」

「いやいや、舞のお母さんもお姉ちゃんかと・・・」


浮かれる母親の声と・・・確かな声。


「・・・はよ下りちょいで、何してん? あんた」


階段の途中で立ち止まる彼女の姿に気がついた母親は、せかすように声をかけてくる。

恐る恐る・・・玄関に近づいていく。


「白浜のお土産やって。あんたも、こないだ純子ちゃんと白浜に行ったのになぁ・・・」


何も知らない母親が、満面の笑みで話しかけてくる。

一歩、玄関へ足を進めて・・・ドアのほうを見た。


「・・・ただいま」


懐かしい無邪気な彼の笑みを前に、時間が止まる。


「・・・・・・嘘」


舞は両手で口をふさいだ。