「・・・違うよ」


1人で盛り上がる彼女に、純子は低い声でささやいた。


「違うよ。・・・勇心、あんたのこと忘れてないねん。思い出にしてるのは、・・・舞だけなんよ」


・・・耳を疑った。

舞の頭は、真っ白になっていく。


「・・・ずっと後悔してるみたい。終わらせたのは俺のほうやって、気持ちおさえようとしても考えてしまうって・・・相談してきてるねんで」


・・・線香花火の紅い火の玉が、ポタリと地面に落ちていく。

明かりをなくした闇の中、波の音だけが静かに2人を包んでいく。


「・・・嘘や」