「いらっしゃいませー」



ドアを開けた瞬間、聞き覚えのある声が聞こえる。



奥から男の店員が出てきた。



「いらっしゃいま………はぁ??」



客に向かって思いっきり顔を歪める店員、郁也。



「あ、やっぱりいた。今日働いてると思って来てみたよー」



にっこり笑って言ってやった。



「…出勤早々変なカップルの接客なんて、俺今日はツイてねぇ」



眉間にしわを寄せて俺を睨みつける郁也。



…カップルって…



…あ。


手、繋ぎっぱなしだ。



成海さんもそれに気付いたらしく、さりげなく手を離されてしまった。



…カップルなんて言われるの、気に触ったのかな…?





「成海さん、この人は須賀郁也。小学校からの親友なんだ」



俺の落ち込みを悟られないうちに、成海さんに郁也を紹介した。