キーンコーンカーンコーン…


08:30


教室に人がわいてきた頃、チャイムが鳴って担任が入ってきた。



「今日の帰りも昨日のバスに乗れば?また成海サンに会えるじゃん」



郁也が声を潜めてこそっと話してくる。



「んー…」



首を縦には振らない。



早くまた彼女と話したいけど、昨日みたいにあえて会いに行こうとは思わない。



それはあえて朝早く家を出ないのと同じ。



あくまでも“いつも通り”っていうのが俺の基本。



もっとも、昨日のことがなければ今日がなかったんだけど、あれは本当に例外のつもり。




「…ま、俺は別に何でもいいけど。また何かあったら教えろよ」


「あぁ」



ふっと笑って俺の肩を叩いた郁也に、肘鉄砲を返してやった。