「い、行ってらっしゃい…!」



乾いた空気に俺の咄嗟の声が響く。



バスに吸い込まれていく彼女の姿を見ると、勝手に口が動いた。



「ふふ、行ってきます!」



振り返って返事をしてくれた。



完全に車内に乗り込んだ彼女が、窓越しに俺に向かって手を振ってくれている。



楽しそうな彼女の笑顔に、俺も手を振った。



バスの扉が閉まり、乗降中ランプが消える。



07:54


成海さんを乗せた車両は、黒煙を吐きながらゆっくりとこの場を去っていった。



始終笑顔で話してくれた成海さんに、更に好感をもった。