「そんなこと言って、本当は嬉しいくせに」
学校前の停留所で帰りのバスを待ちながら、にっこり笑って郁也の肩を肘で突いてやる。
「はぁ?ちっとも嬉しくねぇよ」
そう言って反抗してくる、まんざらでもない顔の郁也。
…ほんと、素直じゃないな。
「…何だよ。なに笑ってんだよ」
つい微笑んでしまう俺を見て、今度は不機嫌そうな顔できいてくる。
「別にー。春から大学頑張ろうねー」
「……気持ち悪ぃな」
ぼそっと言ったその一言を、俺はさらりと聞き流してふふんと笑ってやった。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…