「そんなこと言って、本当は嬉しいくせに」



学校前の停留所で帰りのバスを待ちながら、にっこり笑って郁也の肩を肘で突いてやる。



「はぁ?ちっとも嬉しくねぇよ」



そう言って反抗してくる、まんざらでもない顔の郁也。



…ほんと、素直じゃないな。




「…何だよ。なに笑ってんだよ」



つい微笑んでしまう俺を見て、今度は不機嫌そうな顔できいてくる。



「別にー。春から大学頑張ろうねー」


「……気持ち悪ぃな」



ぼそっと言ったその一言を、俺はさらりと聞き流してふふんと笑ってやった。