「ごめん。行こう!」 体についた小石を払って、再び走り出す。 「よし、急ぐぞ!」 「うん」 いつの間にか雨はあがっていた。 さっきまで濡れていた髪も少し乾いている。 走ってかく汗は冷たい冬の空気で冷やされて、心地よいくらい。 …こんなに必死に走ったの、いつぶりだろう。 誰かを求めて走ったの、もしかしたら初めてかな。 どうか… どうか、もう一度、 ….成海さんに会えますように。