「……」
彼女からの返答はない。
俺の方になんて見向きもせず、外の景色を眺めている。
こうなることはある程度予想はしていたけど、無視をされるって、やっぱり悲しい。
…なんて言っている場合じゃないんだけど。
とりあえず通路を挟んで成海さんの左隣の席に座った。
車内には俺と成海さんと、それからいつもの運転手のおじさん。
バックミラーを見ると、ちらちらとこちらを見ているのが分かる。
ぱっとミラー越しに目が合って、“行け”とおじさんに目で訴えられた。
…そうだ、ひるんじゃだめだ。
言わなければいけないことが、俺にはある。


