弱虫ガールと図書委員長。




「……。」


やっぱ会話はないけど、

送ってくれると言った鈴木くん、本当に優しい人だなと思った。

歩く歩幅も速さも違うくて、あたしがひょこひょこ小走りで歩いてたら、ゆっくり歩いてくれるようになったり、さりげなく隣に来て車が通る側を歩いていてくれたり。


あぁ、やっぱ鈴木くんが好きだ。

もっともっと好きになってしまったよ。


好きが溢れてしまいそうで、焦った。


そんなことを考えてるといつの間にか家の前にいた。



「あ、ここ。あたしの家、ごめんね遠いのに。」

「いや、」

「送ってくれてありがとう。」

「うん。」


何だかソワソワしてる鈴木くん、



気のせいだろうか。


「んじゃあ、」


鈴木くんは一言そう言って背中を向けて
ばいばい、と言う暇もなく歩き出してしまった。

鈴木くんの背中を見つめて、喉に突っかかった言葉を飲み込み家に入ろうとドアをあけたとき、


「新井山!」