机が、椅子が、床のタイルが、天井が。

凄まじい旋風によって破壊され、巻き込まれ、引き剥がされ、残骸と化す。

その威力ならば、教室を貫通して隣の教室まで…いや、直線上にある全ての部屋を破壊して尚留まらずに校舎の外まで貫き通していた事だろう。

しかし。

「……」

その風の渦は、兆志の目の前で掻き消されていた。

彼が片手で掌握してしまったのだ。

教室を破壊してしまうほどの威力の風の渦を。