優雅にさえ見える動きで、還騎は腰にあるものを手に取る。

一見すると帯刀している剣。

しかし鞘から抜くでもなく、そのまま腰から取り外したそれを。

「アストラルの名の下に命ず」

右手に携えたまま、還騎は言葉を紡いだ。

「っ…」

途端に還騎に集束する膨大なエネルギー。

その言葉が、いわゆる『呪文詠唱』だと兆志が気付くと同時に。

「抉り取れ、旋風(つむじ)の顎(あぎと)」

剣のように見える『それ』…杖の先端から、風の渦が襲い掛かった!