校門を潜って校舎へと歩いている途中、校庭の片隅で何かやっている生徒がいた。

あの白い道着は空手着だろうか?

片方はくたびれたヨレヨレの空手着に黒帯、もう片方はまだ真新しい空手着に白帯。

熱心に腕立て伏せをしている傍らで、体格のいい方はおかしな姿勢のまま突っ立っているだけ。

(空手部の先輩か誰かかしら?きちんと稽古すればいいのに)

武道に疎い七星には、それが『立禅』という修行の一つである事がわからない。

それより何より、彼ら二人のそばに立っている女性。

派手な鳳凰の刺繍の入ったチャイナドレス。

スリットなんて、足の付け根近くにまで入っている。

(何あの女の人…部外者?あんな教育上よくない格好して…あとで学園の先生に報告しておこうかしら…)

あれがその『学園の先生』である事を七星は知らない。