満足そうに帰っていく花音を見送りながら。

「あの…すみません…お二人とも…」

拓斗は恐縮そうに言う。

「なぁに…」

龍娘は立ち上がって、チャイナドレスの埃を払った。

「いい妹さんじゃねぇか。雛菊に爪の垢でも煎じて飲ませてぇくらいだぜ」

龍太郎も屈託なく笑う。

「よっぽどおめぇの事が心配だったんだな。あんな事言ってたけど、花音の奴、膝はガクガク震えてたぜ?今にも『お兄ちゃんたすけてぇぇ』なんて言いそうなくらいにな」