ドクドクと、波打つ心臓。その尋常じゃない早さに、"大丈夫か、あたし"なんて考えていた。



「頑張ってね、美海」



親友の奈々が、あたしの肩をポンっと叩いて教室から出ていった。



あたし、姫仲美海は、今から片想いの相手、有明涼君に告白する。



「はぁー……」



今日はバレンタインという名の、女子にとっては大きなイベント。



そんな日に有明君を呼び出しているんだから、きっともうあたしの気持ちには気づいているはず。



オレンジ色の光が差し込む教室内には、あたししかいない。さっき奈々が出ていったときから、あたしは一人。




―――――――ガラッ…



静かな教室内に響いた、ドアが開いたことを示す音。




「あ、有明君……」



あたし多分、今顔真っ赤。



心臓、壊れちゃいそう。さっきよりも早く動いてるもん。