「なぁ、ちょっとだけ」



「いや、だからほんとに…」



ヤバイ。怖い。


いかついお兄さんがあたしの前で、ニヤニヤしながらあたしの腕を引く。



「いいから来いよ」



やっべぇ。

犯されちゃうのか?


犯されちゃうのか、あたし!



とりあえず離してほしい、この手を。



そんな思考も虚しく、ズルズルと引きずられていく。このいかついお兄さん、思ったよりも力が強くて振りほどけない。




「ちょっ、やめてください!」



人通りの少ないこの道。


助けが来ないことは分かっているけど



少女漫画ならここで、ヒーローが助けに来てくれる!


そんな奇跡があたしにも起こってくれないだろうか。

なんて思っていた矢先



「あれ、姫仲?」