夕方少しだけ下がっていた熱が夜になってまた上がってきた。
慶太は当直みたいで、消灯前に来てくれた。
「美奈ちゃん、熱また上がっちゃったね。このままだと眠れないでしょ?今日も注射がんばれるかな?」って慶太が言った。
「ううん・・・イヤ・・・涙」って消え入りそうな声で言った。
「うん。そっか。今夜は当直でいるから、もうちょっと様子みてもいいけど、美奈ちゃんが眠れないのは良くないからなぁ。泣いてもいいから頑張ろ。今夜、注射で熱下げてゆっくり眠れたら、明日くらいにはもうちょっと元気がでてくると思うんだ。なぁ、頑張ろな。」
「・・・グスッ・・・」
「美奈ちゃん、痛いのは一瞬だよ。岩本先生は注射上手だから、あんまり痛くないよ。」って看護師さんも励ましてくれた。
「じゃあ、うつぶせになって・・・」ってうつ伏せにされ、ズボンが下げられた。
「ちょっと冷たいよ・・・」って消毒され、すぐ、「チクってするよ。」って声と同時にチクって痛みが来た。
「いたッ!!うーグスっ痛い・・・涙」
「もうちょっと、頑張って・・・はい、終わり。よく頑張りました。」
「美奈ちゃん、痛かったね。ちょっと揉んでおこうね。」って看護師さんに揉まれ、パジャマを直してくれた。
看護師さんは、片付けて、部屋から出て行った。
慶太が「美奈、もう大丈夫だよ。眠れるかな?ちょっと居るから安心しておやすみ。」って言った。
「お医者さんは嫌い。グスっ。もう嫌だよ・・・涙」
「もう、そろそろ泣き止もう。痛かったよな。ごめんな。明日には少しは良くなってるといいな。」
「明日はもう注射しない?」
「どうかな?熱が下がって、ご飯食べれるようになってくれば、点滴だけで大丈夫なんだけど。早く、元気になろうな?おやすみ。」ってトントンしてくれた。