「じゃあ、ちょっと頑張ろう。消毒するから、スーってするよ。」
冷やってして、腕が消毒された。すでに、涙が浮かんできた。
「美奈ちゃん、むこう向いてようか?見ない方が怖くないからね。はい、チクってするよ。」
っていう声と同時に、チクってきた。
「んー・・・涙・・・」
「はい、終わり。頑張ったね。」って言いながら、注射跡に絆創膏を貼ってくれた。
「じゃあ、注射のあと、気分が悪くなったりしちゃいけないから、30分くらい、待ち合いで休んでから帰ってね。」

待ち合いのいすに座ったら、すぐ、慶太の診察室に私と同じくらいの女の子が呼ばれて母親らしい人と入って行った。
しばらくしたら、その女の子は腕を押さえながら、泣きはらした目をして出てきた。
注射されたんだ・・・って思っていたら、次に、男の人が呼ばれて入って行った。

しばらくぼんやり診察室の出入りを眺めてたら、待ち合いに誰もいなくなった。
そろそろ帰ろう・・・って立ち上がったら、慶太が出てきた。