『……』
この言葉を言われると、あたしは決まって無言になる。
なんにも、言えなくなる。
赤い頬を隠すように。
あたしは先生から目線をはずして、一生懸命色を塗っていく。
先生、そんなこと言われたら嫌でも照れるよ。
ほんとに先生のこと好きな人にそんなこと言っちゃダメだよ。
「あ、永見…」
先生が何か言いかけたとき、授業の終了を告げるチャイムが鳴り響いた。
「…よし、休憩入れー」
そう言ってあたしの後ろから離れていった先生。
先生はさっき何を言いかけたんだろう。
『…なんか変かな?』
あたしは自分の描いている絵を見ながら、小さくそう呟いた。

