…先生、あなたはあたしを殺す気ですか。
とても、幸せそうな顔。
そんな顔、先生を想ってる人の近くでしないでください。
ドキドキしすぎて、心臓が止まりそうになるから。
藤堂 和也。22歳の美術教師。
あたしの、恋してる人。
近くにある特別な人の笑顔に、あたしも自然と笑顔になる。
「こんな感じかな。
永見、最近がんばってるな!」
そう笑顔で言って、パレットをから離した手であたしの頭を優しく撫でる。
先生にとってはいつもの行動。
けど、あたしからしたら心臓がバクバクして耐えられない。
こういうところ、ずるいよ、先生。