『あ、あの!
桜がすごく綺麗だったから、つい描いちゃって…』


咄嗟にでたのはこの言葉。

嘘じゃないけど、本当の理由でもない。


だけど、そこを疑わないのが先生なんだよね。


笑顔で「あぁ、そうか!」って、そう言ってくれたから。



「…いい絵だな。綺麗だ。
永見らしくて好きだよ」


『……っ』



うれしくて、泣きたくなった。

先生に褒められること自体は珍しくないけど。


きっと、“この絵”だからこんなにうれしいんだ。

きっと、“永見らしくて”って言葉がうれしいんだ。