さくらが咲く頃に















『やった、できた…っ!』


思わず、そう声を出してしまった。

だって、だって…
自分で思ってたよりもずっと
きれいに描けた気がしたんだもん。


あたしは早速準備室にいる先生を呼びに行った。



『先生、先生!描けた!』

ノックをするのも忘れて、勢いよく準備室へ入る。



『先生、せんせ…い?』


先生、寝てる…?

机にうつ伏せになって、静かに寝息をたてている。


先生の寝顔は、とても穏やかで優しくて、なんだか可愛い。


『ふふっ。
先生、あたし描けたよ』

起こさないように、小さな声でそう伝えてあたしは美術室へ戻っていった。