さくらが咲く頃に















先生は最後に「お前らしく、だからな」と、笑顔で言ってから準備室に入っていった。



先生がいなくなって、一人になった美術室。

開いた窓から、暖かくなった春の風が入ってくる。



“お前らしく”


あたしらしい絵で、いいんだ。

先生の作った色で、あたしらしい絵を描いていいんだ。


先生の言葉で、かなり心が軽くなった気がした。



『…よしっ!』



気合いを入れて、あたしはパレットを持って色を付け始めた。