「おーい、おまえら。 色ベタ塗りすんじゃねーぞ」 そう教室に響く先生の少し低めの声。 あたしはこの声が好き。 永見絵美。高校一年生。 美術の先生に“恋”してます。 「おっ、永見!いい色だ。 もう少し青に白を足せば…」 そう言ってあたしの筆を取り パレットへ白を流し込む。 すぐ隣に、先生の顔。 少しくせ毛な焦げ茶の髪の毛。 キリッとした眉に、優しい瞳。 スッと通った鼻筋。 楽しそうに色を混ぜる、先生の顔がすぐ隣にあるんだ。