沙希はニヤニヤしながら背中をつついてくるし。

先生は特に気にする様子もなく、笑顔だし。


やっぱり先生はずるい。


あたしだけ、こんなに気にしちゃうんだもん。



「じゃ、また春休みに。
連絡待ってるからな。」


そう言って、あのときと同じように
あたしの頭をポンポンとしてから帰っていった。


あぁー!
ずるい、ずるすぎる。

彼女、いるくせに。


もっと好きになっちゃうじゃんか。




『…バーカ』

もう見えない先生の背中に、小さい声でそう言った。