少しだけ桜の木から目をずらしたその先には、先生たちの駐車場があって。

あたしは自慢の視力を生かして先生の車を見つけた。


黒の軽自動車。
普通なところが先生らしくて好き。

まだ車があるってことは、帰ってないみたい。


先生、出てこないかなぁ。

そんなことをボーっと考えていたとき。


『あ…っ』


そう声を漏らしたあと、クスッと笑ってしまった。