先生の一番好きな場所を、 あたしの絵で描いてみたかった。 だからこそ、中途半端は嫌だ。 綺麗に描けなきゃ、嫌だ。 あたしは美術室から見える景色に目をやる。 大きな桜の木に、その横に流れる川。 先生の絵と、同じ。 だけど一つだけ違う。 『まだ、咲かないんだ…』 まだ、桜の花は咲いていない。 綺麗なピンク色の桜の花を見れるには、あとどれくらいかかるのだろう。