赤色に白を足して。 さらに水を少し加え、薄いピンク色を作る。 ゆっくり丁寧に、下書きされた小さな花びらに塗っていく。 『…違う』 そう、なにか違う。 あたしの思う“絵”じゃない。 先生にあげたい、“絵”じゃない。 絵を描いてみようと決めた日の翌日。 あたしは放課後に美術室からの景色を描いていた。 だって、ここは。 先生の一番好きな場所だから。