戦う事や1人で生きる事にも慣れた様な力強さが感じられたのだ。

まるで山賊のような。

「珍しい迷子がいたもんだな。一人か?」

青年は相変わらず何の構えもなしに手慣れた雰囲気で話しかけてきた。

シイラは咄嗟にオーハルの荷物の紐を握りしめて身構える。

逃げなきゃ、そんな思いが身体に力を入れていった。

逃げる、でも逃げられるだろうか。

改めて目の前にいる青年の顔を見上げた。

二人の視線がぶつかり絡まる。

やがて青年は何かに気付いたような素振りを見せた。

それはシイラの警戒心をさらに強めることになる。

「…まさか。」

そう呟いたと思うと青年は一歩シイラに近付いて屈んだ。

身を縮め、シイラと目線を合わせる。

シイラはこれ以上ない位に下がり身構えた。

背中に木の幹の硬さを感じて、冷たい汗が背筋を通っていく感覚がする。