「でも。」

「これ位で心配されていては私もまだまだですね。大丈夫、無理はしても無茶はしません。それにたった1日で倒れる程柔ではありませんから。」

まだ器に残っていた果物を摘まんでシイラに見せた。

「採った時も食べたんですが、シイラの好きな味だと思いますよ。」

微笑みながら口に入れるとオーハルはシイラにも食べるように促す。

シイラは素直に応じて赤紫色の小さな果実を食べてみた。

噛んで口に広がる果汁に顔色が変わる。

「甘酸っぱくて美味しい。」

自然とこぼれた笑顔にオーハルは満足そうに微笑んだ。

「でしょう?」

大きな口で時間を惜しむようにパンを食べていく姿は、おっとりとした話し方とは対称的だ。

ガツガツと口に入っていく食べ物たち、気が付けばオーハルはもう食事を終えていた。

シイラも急いでパンを口に運んでいく。

「ゆっくりでいいですよ。」

「うん。」

そうは言ってもやはり焦ってしまう。