それを見て、クスクスと笑いながら彼の横にいたキアヌが一歩踏み出す。

その様子からリトは自分の口から言うのを躊躇っているように窺えた。

「リトは中央区の者ですよ。」

彼の様子を確認しながらキアヌは告げた。

リトは彼女と視線を合わせて苦笑いをする。

「中央区の者って…。」

しかし、シイラの納得出来ない気持ちがさらに続きの情報を求めた。

「あー…えっと。」

「リトは中央区所属、皇立騎士隊の隊長なんですよ。」

言葉を選ぶリトよりも先にオーハルを支える青年が笑顔で答えた。

「ね、リト？」

とても誇らしげに、優しい声でリトに同意を求める。

リトは微笑む事で答え、その言葉を肯定した。

「騎士隊！？」

シイラもオーハルも驚きを隠せず、お互い顔を見合わせた。

練習でもしていたかのような見事なタイミングの動きに、それを見てリトが笑う。

「息ぴったりだな。」