その場にいた誰もの動きを止めてしまう程の迫力。

オーハルは矢が刺さったままの右太ももと左腕を庇いながら立ち上がろうとしてた。

痛々しい姿にシイラの表情も歪む。

「オーハル殿、そのような事を言えるご身分と?貴方の役目は捕虜の監視役だった筈です。」

この武装集団を束ねるリーダー役が厳しくもオーハルに突き返した。

彼はオーハルを知っている。

しかも監視役だと信じられない言葉を吐き出した。

オーハルは睨む事でそれに答える。

「…オーハル?」

完全に状況を掴めず、空気にのまれたシイラには彼の名前を呼ぶ事しか出来なかった。

すがるような弱々しい声だと自分でも気付いた。

でも、もう限界だ。

分からない。

何が何だかもう全てが分からない。

全部明らかにしてこの混沌とした感情の中から抜け出したかった。

自分で自分が分からない。