でもまだ守れそうにない。

もう少しだけ、今だけ許してほしい。

愛しそうに、離れがたいと嘆くように何度も何度も土の温かみを求めて繰り返し撫でた。

これはダイドンの最後の姿だ。

まるで手に感触を覚えさせるように、忘れないようにその仕草は止まらない。

「ダイドン。…お父さん。」

少しずつ感情を落ち着かせて現実を受け入れていくように努めた。

目の前にあるのは土。

ここはかつて二人が暮らしていた家ではない。

もう名前を呼んでも彼は応えてくれない。

受け入れる度に胸が痛み、呟く声が震えてしまうのは仕方がなかった。

「家をお墓にするなんて…娘泣かせな父親だと思わないの?」

頭で理解していてもやっぱりまだ感情がついていかない。

土を撫でる手に力がこもり、こみ上げてくる気持ちから握りしめてしまった。