あかねは自分の部屋で、ベッドに横になりながら何気なく携帯を見た。
すると、電池が切れていた。

充電器を見つけ、充電し電源をつけた。

メールを確認してみると、3件来ていた。

一つは、カラオケに一緒に行った中学からの同級生。
霧島舞から。

二つ目は、チェーンメール。
三つ目は、元橋結紀からだった。

まさか、もうメールして来るなんて・・・

『件名:こんばんは』

『本文:今日は楽しかった。また絶対会おうね。約束! 結紀』
何気にメールに絵文字は一つも入っていなかった。

なんだ。メールは堅苦しいんだ。

そう思いながら返信をした。

『件名:Re:こんばんは』
『本文:今日はありがとう。また今度。 あかね』

打ち込みながら、自分も十分堅苦しいと思った。
絵文字の一つもないし、極端に短文。
今思ってみると、私っていろいろ雑にやってたかも。

まいっか。

あかねはメールを送信した。

ふぅ。

携帯を机に置き、雑誌を手にとった。
そうだ、今日は本当は友達の誕生日プレゼントを買いに行くつもりだったのに・・・。
なんかいろいろめちゃくちゃにされちゃったなぁ。

本当に今日はいろいろあった。
大人の男の人が、どんな感じなのかがほんの少しだけわかった気がする。

これから、どうなるんだろう、私?



次の日。
学校の日だ。
いつもどおり、髪をセットして制服を着て朝食を食べて学校へ行く。
今朝も、お父さんには会わなかった。
お父さんは出て行く時間が早いのだ。

「あかね、今日は遅くなるの?」
「え?あー・・・わかんない。メールか電話するよ」
「わかった。いってらっしゃい」

「いってきまーす」

お母さんも、近所のコンビニでパートをしている。
小学校の頃の友達とかが、お母さんと偶然会ったりすることもある。

駅まで、自転車で行く。
入学した時はバスで行くことも考えた。だけど・・・
入学してすぐにそのバスで痴漢が現れて、そのバスに乗る気がなくなった。

駅の近くに自転車を止めて、電車で30分。
洋蘭高校がある。

「あかねー!おはよー」

振りかえると、そこにいたのは親友の舞だった。

「きのうのメール、きづいた?」
「あ・・・」
そうだ、結紀にだけメールをかえして、舞には返していなかった。
「ごめん、返してなかったね」
「もー、なんかあったかと思って心配したじゃん!」

「ごめん・・・」
実を言うと"なんか"あったんだけどね。
舞には言おうかな。
まだいっか。ただ単にナンパされただけだし。
もし、付きあうとかそういう関係になったらいおう。

・・・多分ならないと思うけどね!!