「えっ!? ぁッ・・・ちょ、あのっ、えと」

あかねは完全にパニック状態だった。

信じられない、私が?
この大人の人に?
・・・ナンパ!?!?!?

放心状態だった。
確かに出会いを求めていたし、相手から話しかけてほしいとさえ思っていた。
でも・・・

そんな、サラリーマンに話しかけられたいなんておもってなーーーい!!!


「・・・そんなに驚くことかな」

「はっ!?!?」
男性はボソリといった。

「『そんなに』ってどういうことですか?
私、一応高校生なんです、貴方だって・・・」
「は?高校生?! 君が!?」

男性は驚いた表情をした。
しかし、そのすぐ後に爆笑、腹を抱えて笑っていた。

「な、なによ、いきなり話しかけてきて、いきなり大爆笑して。何のつもりよ!!」
「ごめんごめん、違うんだよ。後姿じゃ高校生に見えな」
「中学生に見えたっていうの!?」
本当になんなの、この人。
大人のくせに、いや、年は聞いてないけど明らかに私より年上のくせに。

私より・・・かなり礼儀がなってない!!!

男性は乱心のあかねをなだめるようにしながら言った。

「違うってば、聞いてよ。
君が大学生くらいに見えたの。大人っぽく見えたんだってば。」

・・・
この人はいきなりなにをいうの・・・

「だから、声かけたの。かわいいなーっておもってさ。後姿がね。俺ね、24歳なの。一応社会人2年目♪もちろん彼女ナシ!だから探してたんだよ。可愛い子。」

彼女がいない社会人二年目がスーツ姿で彼女作り!!?

「ふざけないで、私は真剣に相手を探して・・・」

ってちがう、こんなことが言いたいんじゃないの

「・・・じゃなくて、貴方のお誘いはお断りします」

無理よ、こんな年上でしかも常識のなってない人。
第一、駅で話しかけるってどういうことよ


「真剣に相手を探してる?」

男性は妙なところに食いついた。
それはあかねがあやまって口滑ってしまった言葉だ。
できれば聞き流してほしかった。

「ちがう、それは・・・」

「じゃあ、一回お茶しよう!!」

・・・

「は!?」

なんで?なんでそうなるのよ!!
「やっぱあなた頭おかしいんじゃ・・・」

「よく言われるよ。」
「開き直んないで!!」

「だって、彼氏いないんだろ。
俺もいないの。彼女。だったらちょうどいいじゃん!」

よくなーーい!!

「ほら、いこう!」

男性はあかねの肩に手をかけた。
こんな二人の話を聞いている人は、幸いにも1人もいなかった。

しかし、逆に連れ去られかけているあかねを助けてくれる人もいなかった。