散々満たされたあたしは
亮輔の腕の中で瞳を瞑る。
亮輔の腕はあたしをずっと
包み込んでくれる。
この時間、あたしは好きだよ。
静かに眠る亮輔を見ながら
胸がぎゅっとする。
亮輔の全部が好き。
強引なところも
優しいところも
強情なところも
あげたらキリがないくらい。
亮輔は………
―――♪♪♪♪
今ではもう耳についてしまった
音楽が鳴った。
亮輔の携帯。
「亮輔、鳴ってるよ」
「…ん。出て」
完璧寝ぼけてる。
「ふざけないで、本当に出るよ?」
あたしの嫌味は嫌味じゃない。
ベッド脇に置いてある携帯に手を伸ばすと、勢いよく腕を掴まれた。
「冗談だろ」
さっきまで寝ぼけてたくせに
亮輔は上半身を起こし
あたしを鋭い目で見てきた。
やり場をなくした手は
虚しくて切ない。

