「寒くね?」
「ん。もう温かい」
耳元でする亮輔の低い声が
体に響く。
「どのくらい待った?」
「そんな待ってないよ?」
「いいから」
強引な口調の亮輔。
そんなこと、あたしは気にしないのに。
「10分くらいかな」
「……嘘つくなよ」
しばらく間をあけた亮輔が
あたしの手を触れて言った。
バレた……
「早く行きましょ?」
そう言っても
亮輔の腕の力は緩まない。
「もっと遅く来いよ。オレが迎えに行くって言っただろ?」
強引な口調は変わらないのに
甘く優しい声。
あぁ……
もう、我慢できないよ。
「手、冷てぇよ」
毎回、毎回
こうして亮輔はあたしを狂わす。
だから、会うたびに
好きが増えてく。
「……お願い。もう行こ?」
あたしは、亮輔を待つ方が好きなの。

