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あたしにも家庭があるのは
分かってる。
「ただいま」
「おかえり。遅かったね?」
玄関を開けると優しい笑顔が
出迎えてくれた。
彼の名前は文人。
「……仕事が終わらなくて」
何回言い訳をしても
慣れない。
「大変なんだね。お風呂沸いてるから入りなよ」
「うん。ありがとう」
裏切りを続けるあたしに
優しくしてくれる文人。
何もかもが亮輔とは逆な人。
「ねぇ…文くん」
「ん?」
優しさが全身から滲み出てる文人。
あたしは、最低なんだ。
「なんでもない」
「なんだよ?なんかあったの?」
心配そうな顔をして
あたしを見てくる。
あたしに亮輔がいなかったら
文人はあたしの大切な人に間違いない。
「本当になんでもないの。呼んでみただけ」
「なにそれ〜変な実沙季」
あたしの頭をぽんぽんとする文人を見て
逃げるようにお風呂場へ向かった。

