あたしだけを愛して




はぁ―――


軽く伸びをしてから、鞄を
枕代わりにして床に寝転ぶ。



目を閉じると頬にあたる風が
心地よくて、初夏の訪れを
感じた。





―――さっきの拓真の話が
心に引っ掛かっていた。





“結城芽衣”





どこかで聞いた気がする…


なのに、思い出せない。



何か大事なことの気がするのになかなか思い出せなくて、モヤモヤした気持ちが心を支配した。