…どうして?


おかしいのは、旭日先生だけじゃない。

霞先生の代わりに、口元をなでられた生徒も、デレッと耳まで真っ赤にしちゃってだらしない。



…どいつもこいつも、
本当、なんなんだろう。


下を向くと、バカらしくて、から笑いが漏れた。


なおせない音は、こういう音なのだと、
はじめて知った。



「……待って」


先生を1人にさせちゃダメだと、直感がいう。


理性が追いつくより前に、私の横を通り過ぎて去って行こうとする先生の、シワひとつ付いてないようにみえたスーツを掴んでいた。


そんなこと、自分には関係のないことのように振り向いた先生は、

呆然としていて、痛々しい。



「……行かないで」


独りでなんか、泣かせてあげない。