…あぁ、そっか。
やっぱりはるはあの時、私のところに意識はなかったんだね。
「…あの日、はるにもお弁当つくってて。
昼休みに声かけたけど、はるは気にも止めず吹っ飛んでいったの、中庭に」
「その時に落ちたってことか、弁当」
「………」
答えを求めるはるに、今度は教えてあげてもいいのか迷って、黙ってみる。
「…そういえば最近、やたらクラスのやつに、深詞とうまくいってるのかとか、弁当大丈夫かとか聞かれてたのは…」
「…多分、そのことじゃないかと」
けれどはるは、今までの生活の中でヒントをみつけていたみたいで。
ピースがハマった途端、その表情から、サーッと血の気が引いていく。
「わーー。引くわ。自分で引くわ。最低だな、俺」
はるは、相当へこんでしまったみたいで、頭を抱えて自分を振り返ったあと、
ちらりと私をみて、コツンと、肩におでこを乗せてきた。
「…わりぃ」
と。
少し離れていたその背中に腕をまわして軽く抱き寄せて、今度は私が、はるの頭をぽんぽんと撫でた。
さすがにもう、はるが私のことを大事に想ってくれてることは分かったから、私より大切なものがあるんだなんて、拗ねたりはしないけれど…
「…お弁当ぐちゃぐちゃって、そういうことだったんだ?てっきり緒斗くん絡みかと…」
余計に気になる。
旭日先生としてたこと。



