私が聞くと、おかしそうに旭日先生が霞先生をみながら話す。


「顔合わせ自体は、両家の親と私達だけで行ったんだけど…

はるくんの話、結構してたのに。
気づかないなんて、ほんと、笑っちゃうよね」


上品に口に手を当てて、クスクスと笑う旭日先生に、まいったという顔をする、霞先生。


「…まさかだったよ。

心陽が話す "はるくん" が、日向なんてな。
思いもしなかった」


約1か月、毎日一緒に過ごしていたはずなのに、そんな表情、私はみたこともなかった。

頭を抱える姿は、何度となく目にしてきたけれど、覗く表情から、アクが抜けている。


…後悔は、消せないとしても。



「間違いなく、心陽の情報不足だろ。

なんの話を聞かせてたかは知らねーけど。
俺のフルネームなり写真でも見せとけば、こんな風にならなかったと思うけど」


「え、私のせいなの?
はるくんだって、深詞ちゃんにも緒斗くんにも話してなかったじゃない」


「いやだって、深く関わることねーしと思って」

「私だってないと思ってたの」